慈父と慕われて~偉大なる国王プミポン・アドゥンヤデート
2016年10月14日
昨日タイの慈父であるプミポン国王陛下が天に召されました。
タイに住んで20年以上経ちますが、タイの王様はほんとうに多くの人々にこころより慕われていたことを知っています。そしてタイという国は王様を中心に成り立っていた国でもありました。
それは毎夕テレビの中の王室ニュースや映画を見る前の王様への唱和や、ときとして王様が自身のお誕生日などに、国民に語りかけるお話だったりとタイの人々にとってはその生活の一部として誰もがこころのよりどころとされていた存在であったと感じています。
深い悲しみと共に、なぜプミポン国王様が多くの人々から慕われているのか、その所以の片鱗である2004年に娘であるシリントン王女様へお出しになったお手紙をご紹介させていただきたいと思います。
国王からシリントン王女への手紙 2004年10月6日
娘へ
この世界では、全てのものは常に対をなしている。
闇と光 善と悪 好きな方を選べと言われたら、誰もが明るい方を、良い方を選ぶだろう。
しかし、その願いを叶えるには、明るい方、良い方に向かうには、人を愛することが必要だ。
人を愛することで、あらゆる問題は解決できる。この世界は幸福で満たされ、平和になり、愛で溢れるようになる。
お前に伝えておきたい。
1. 周りの人をみんな友と思いなさい。共に生を受け、共に歳を重ね、共に痛みを分かち合い、共に天に召される。過去も、現在も、未来も、いつのときも、全てを分かち合う友だと。
2. 世界の良いところを見なさい。そうすれば世界はより良いものになる。現実をきちんと見ること。そうすることで、問題のあるべき解決策が導き出される。
3. 自分の足で立ちなさい。すでに満たされているのだというベースを自分の中に持つこと。今あるもの、今得られているものに満足すること。それがどうであれそれを受け取る。執着せず、あればいいが、なくてもいい、という考え方を持つこと。身の丈に合ったものに満足すること。持っているものが少なければ、得られるものが少なくても、それで満足すること。
ー 余裕を持つこと。自分に余裕がないと周りに迷惑をかけてしまう。
ーそこそこで満足すること、働いて、その働きに見合ったもので満足するということ。
ー 自分自身に見合った立場でちゃんと生きること。
4. ぶれない心を持ちなさい。怠惰は罪であり、勤勉さには価値があると知りなさい。嫌なことがあったときは、またいいこともあるし、楽もあれば苦もある、賞賛を浴びることもあれば陰口を叩かれることもある。ついてないときもあれば運に見放されるときもある。それが自然の摂理なのだ、と唱えなさい。
むやみに嘆いたりせずに、「そういうものだ」と思いなさい。
父より
2004年10月6日
タイという国の一つの時代が確実に終わったと身をもって感じています。
これからこの国がどういった方向へと進むのかはわかりませんがタイの人々のこころにこの王様のお言葉がすっといきつづけていきますように。。
偉大なる慈父プミポン国王のご冥福をこころよりお祈り申し上げます。
Pachamama